【歳時記・秋】 台風 たいふう
〈傍題〉
颱風 たいふう ・ 颶風 ぐふう ・ 台風圏 たいふうけん ・ 台風禍 たいふうか ・
台風裡 たいふうり ・ 台風の目 たいふうのめ ・ 台風過 たいふうか・
台風眼 たいふうがん
英語のtyphoonに漢字をあてたもの。北西太平洋の低緯度域で発生した熱帯性低気圧のうち、中心付近の最大風速が毎秒17.2m以上のものとされる。
〈比較〉
【歳時記・秋】 秋風 あきかぜ
【歳時記・秋】 初嵐 はつあらし
【歳時記・秋】 野分 のわき
〈例句〉
颱風の波見て墨を磨りにけり 誓子
(たいふうの なみみてすみを すりにけり)
颱風が日本列島の尾を摑む 草城
(たいふうが にほんれつたうの ををつかむ)
颱風のゐる天気図を怖れけり 草城
(たいふうの ゐるてんきづを おそれけり)
梯子あり颱風の目の青空へ 三鬼
(はしごあり たいふうのめの あをぞらへ)
颱風の白浪近く箸をとる 波津女
(たいふうの しらなみちかく はしをとる)
颱風の波まのあたり室戸岬 年男
(たいふうの なみまのあたり むろとざき)
颱風の心支ふべき灯を点ず 楸邨
(たいふうの しんささふべき ひをてんず)
台風を充ちくるものの如く待つ 暮石
(たいふうを みちくるものの ごとくまつ)
台風眼汽笛は生きて西すなり 湘子
(たいふうがん きてきはいきて にしすなり)
颱風の余波時なしの雨が降る 立子
(たいふうの よはときなしの あめがふる)
〈参考資料〉
・山本健吉 『山本健吉 基本季語五〇〇選』 講談社
・飯田龍太、稲畑汀子ほか 『カラー版 新日本大歳時記 愛蔵版』 講談社
・稲畑汀子 『ホトトギス新歳時記 第三版』 三省堂
・飯田蛇笏、富安風生ほか 『平凡社俳句歳時記 秋』 平凡社
・茨木和生、宇多喜代子ほか 『新版 角川俳句大歳時記 秋』 KADOKAWA