【歳時記・春】 夏近し なつちかし

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初夏の近づく草原と小川の写真

夏近し なつちかし

〈傍題〉

夏隣る なつとなる ・ 夏隣 なつとなり

晩春、間近に控えた立夏を感じる頃に用いられる。
「夏近む(なつちかむ)」「近き夏」を傍題に含める歳時記もあるが、多くは上記の2つを傍題としている。

〈比較〉

【歳時記・春】 行く春 ゆくはる
【歳時記・春】 春の暮 はるのくれ
【歳時記・春】 春惜しむ はるをしむ

〈例句〉

清滝に宿かる夏の隣りかな 蓼太
(きよたきに やどかる なつのとなりかな)

夏近き吊手拭のそよぎかな 鳴雪
(なつちかき つりてぬぐひの そよぎかな)

煮るものに大胡の蝦や夏近し 蛇笏
(にるものに たいこのえびや なつちかし)

大楠の走り根脈打つ夏隣 慶子
(おほくすの はしりねみやくうつ なつとなり)

隙のなき朝の青天夏隣 群青
(すきのなき あさのせいてん なつとなり)

透きとほる雨具が流行り夏近し 忽歩
(すきとほる あまぐがはやり なつとなり)

海近く住み潮の香に夏近し 汀子
(うみちかくすみ しほのかに なつちかし)

〈参考資料〉

・飯田龍太、稲畑汀子ほか 『カラー版 新日本大歳時記 愛蔵版』 講談社
・稲畑汀子 『ホトトギス新歳時記 第三版』 三省堂
・飯田蛇笏、富安風生ほか 『平凡社俳句歳時記 春』 平凡社
・茨木和生、宇多喜代子ほか 『新版 俳句大歳時記 春』 KADOKAWA

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