【歳時記・秋】 草の花 くさのはな
草の花 くさのはな
〈傍題〉
草花 くさばな ・ 千草の花 ちぐさのはな ・ 百草の花 ももくさのはな ・ 草花売 くさばなうり
名のある草・名も無い草、どちらの花も「草の花」とする歳時記が多い。これが入り乱れて咲いているのが「花野」。草の花は秋、木の花は春の季語とされる。
〈比較〉
〈例句〉
草いろいろおのおの花の手柄かな 芭蕉
(くさいろいろ おのおのはなの てがらかな)
この道へ迷ふたもよし草の花 乙由
(このみちへ まよふたもよし くさのはな)
牛の子の大きな顔や草の花 虚子
(うしのこの おほきなかほや くさのはな)
武蔵野や雲に咲入る草の花 闌更
(むさしのや くもにさきいる くさのはな)
あつめねば花にもあらぬ小草かな 召波
(あつめねば はなにもあらぬ をぐさかな)
草花や垣根も無しに台所 水巴
(くさばなや かきねもなしに だいどころ)
草の花ひたすら咲いてみせにけり 万太郎
(くさのはな ひたすらさいて みせにけり)
径あるや径おのづから草の花 迷堂
(みちあるや みちおのづから くさのはな)
草の花駱駝の通ふ径通ず 楸邨
(くさのはな らくだのかよふ みちつうず)
やすらかやどの花となく草の花 澄雄
(やすらかや どのはなとなく くさのはな)
〈参考資料〉
・山本健吉 『山本健吉 基本季語五〇〇選』 講談社
・飯田龍太、稲畑汀子ほか 『カラー版 新日本大歳時記 愛蔵版』 講談社
・稲畑汀子 『ホトトギス新歳時記 第三版』 三省堂
・飯田蛇笏、富安風生ほか 『平凡社俳句歳時記 秋』 平凡社
・茨木和生、宇多喜代子ほか 『新版 角川俳句大歳時記 秋』 KADOKAWA