【歳時記・秋】 夜長 よなが
夜長 よなが
〈傍題〉
夜永 よなが ・ 長き夜 ながきよ ・ 長夜 ちょうや(ちやうや)・ 夜長衆 よながしゅう(よながしゆう) ・ 夜長人 よながびと ・ 夜長妻 よながづま
秋の夜が長く感じられること。また、長い夜のこと。
歳時記では、三秋とするものが多い。仲秋とするものも。
〈比較〉
【歳時記・秋】 秋の夜 あきのよ
【歳時記・秋】 宵闇 よいやみ(よひやみ)
〈例句〉
長き夜や通夜の連歌のこぼれ月 蕪村
(ながきよや つやのれんがの こぼれづき)
長き夜や障子の外をともし行く 子規
(ながきよや しやうじのそとを ともしゆく)
鐘の音の輪をなして来る夜長哉 子規
(かねのねの わをなしてくる よながかな)
長き夜を重ね重ねし枕かな 虚子
(ながきよを かさねかさねし まくらかな)
長き夜の中に我在る思かな 虚子
(ながきよの なかにわれある おもひかな)
長き夜の隔離の廊下魔が通る 左右
(ながきよの かくりのらうか まがとほる)
妻がゐて夜長を言へりさう思ふ 澄雄
(つまがゐて よながをいへり さうおもふ)
夜長人耶蘇をけなして帰りけり 普羅
(よながびと やそをけなして かへりけり)
長き夜や坐礁の船の灯は航かず 播水
(ながきよや ざせうのふねの ひはゆかず)
雨もりもしづごころなる夜長かな 青畝
(あまもりも しづごころなる よながかな)
北山の夜の長さを杉育つ 綾子
(きたやまの よるのながさを すぎそだつ)
長き夜の苦しみを解き給ひしや 汀子
(ながきよの くるしみをときたまひしや)
〈参考資料〉
・飯田龍太、稲畑汀子ほか 『カラー版 新日本大歳時記 愛蔵版』 講談社
・稲畑汀子 『ホトトギス新歳時記 第三版』 三省堂
・飯田蛇笏、富安風生ほか 『平凡社俳句歳時記 秋』 平凡社
・茨木和生、宇多喜代子ほか 『新版 角川俳句大歳時記 秋』 KADOKAWA
・山本健吉 『山本健吉 基本季語五〇〇選』 講談社