【歳時記・夏】 蚊 か
蚊 か
〈傍題〉
赤斑蚊 あかまだらか ・ 薄蚊 うすか ・ 赤家蚊 あかいへか ・ 縞蚊 しまか ・ 藪蚊 やぶか ・ 翅斑蚊 はまだらか ・ 昼の蚊 ひるのか ・ 蚊柱 かばしら ・ 鳴く蚊 なくか ・ 蚊を焼く かをやく ・ 蚊の声 かのこゑ ・ 蚊の唸り かのうなり ・ 蚊の口 かのくち ・ 蚊を打つ かをうつ ・ 蚊を追う かをおふ
〈比較〉
〈例句〉
我宿は蚊のちいさきを馳走かな 芭蕉
(わがやどは かのちひさきを ちそうかな)
蚊柱や吹きおろされてまたあがる 鬼城
(かばしらや ふきおろされて またあがる)
叩かれて昼の蚊を吐く木魚哉 漱石
(たたかれて ひるのかをはく もくぎよかな)
山の蚊の縞あきらかや嗽 不器男
(やまのかの しまあきらかや くちすすぐ)
蚊を搏つて頬やはらかく癒えしかな 波郷
(かをうつて ほおやはらかく いえしかな)
蚊ばしらや眉のほとりの空あかり 蛇笏
(かばしらや まゆのほとりの そらあかり)
老僧の骨刺しに来る藪蚊かな 虚子
(らうそうの ほねさしにくる やぶかかな)
摩周湖の神秘なる蚊に食はれけり 汀子
(ましうこの しんぴなるかに くはれけり)
〈参考資料〉
・山本健吉 『山本健吉 基本季語五〇〇選』 講談社
・飯田龍太、稲畑汀子ほか 『カラー版 新日本大歳時記 愛蔵版』 講談社
・稲畑汀子 『ホトトギス新歳時記 第三版』 三省堂
・飯田蛇笏、富安風生ほか 『平凡社俳句歳時記 夏』 平凡社