【歳時記・秋】 秋の蚊 あきのか
秋の蚊 あきのか
〈傍題〉
別れ蚊 わかれか ・ 残る蚊 のこるか ・ 蚊の名残 かのなごり ・ 後れ蚊 おくれか
三秋の季語とする歳時記もあれば、初秋とするものも。
〈比較〉
〈例句〉
秋の蚊の居りてけはしき寺法かな 虚子
(あきのかの をりてけはしき じほふかな)
くはれもす八雲旧居の秋の蚊に 虚子
(くはれもす やくもきうきよの あきのかに)
秋の蚊や吹けば吹かれてまのあたり 蛇笏
(あきのかや ふけばふかれて まのあたり)
秋の蚊の人を求めず舞ひにけり 耒井
(あきのかの ひとをもとめず まひにけり)
残る蚊の煤のごとくに降りて来し 恒彦
(のこるかの すすのごとくに おりてきし)
秋の蚊を払へばほろと消えにけり 立子
(あきのかを はらへばほろと きえにけり)
秋の蚊の灯より下り来し軽さかな 年尾
(あきのかの ひよりおりきし かるさかな)
まだ秋の蚊をひそませて池ほとり 汀子
(まだあきの かをひそませて いけほとり)
〈参考資料〉
・山本健吉 『山本健吉 基本季語五〇〇選』 講談社
・飯田龍太、稲畑汀子ほか 『カラー版 新日本大歳時記 愛蔵版』 講談社
・稲畑汀子 『ホトトギス新歳時記 第三版』 三省堂
・飯田蛇笏、富安風生ほか 『平凡社俳句歳時記 秋』 平凡社