【歳時記・夏】 梅雨晴 つゆばれ 

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新緑の木漏れ日の写真

梅雨晴 つゆばれ

〈傍題〉

五月晴 さつきばれ ・ 梅雨晴間 つゆはれま ・ 梅雨晴る つゆはる ・ 梅雨の晴 つゆのはれ ・ ついり晴 ついりばれ

梅雨の最中に少しの間、1~2日、あるいは数時間ほど、晴れること。
梅雨明けの後の何日かの晴天をさしていうこともある。
上にある傍題「五月晴」の扱いは、歳時記によって異なる。
「梅雨晴」を主として「五月晴」を傍題とするもの、逆に「五月晴れ」を主として「梅雨晴」を傍題とするもの、双方をそれぞれ単独の季語として扱うものが見受けられる。

〈比較〉

【歳時記・夏】 梅雨 つゆ
【歳時記・夏】 五月雨 さみだれ

〈例句〉

うれしさや小草影もつ五月晴 子規
(うれしさや をぐさかげもつ さつきばれ)

梅雨晴の夕茜してすぐ消えし 虚子
(つゆばれの ふゆあかねして すぐきえし)

梅雨晴の榎雲吐く峠かな 魚鱗
(つゆばれの えのきくもはく たうげかな)

焼跡へ梅雨晴の空ひた押しに 草田男
(やけあとへ つゆばれのそら ひたおしに)

舟きては梅雨の晴間の帆を下ろす 秋櫻子
(ふねきては つゆのはれまの ほをおろす)

梅雨晴の山を見上る嗽ひかな 露石
(つゆばれの やまをみあぐる うがひかな)

梅雨晴間焼むすびなど匂はせて 麥丘人
(つゆはれま やきむすびなど にほはせて)

梅雨晴の眩惑するに任せけり 瓜人
(つゆばれの げんわくするに まかせけり)

梅雨晴や三日分ほど働く気 壽女
(つゆばれや みつかぶんほど はたらくき)

磯の香と梅雨晴の日の俄かなる 湘子
(いそのかと つゆばれのひの にはかなる)

かみそりのやうな風来る梅雨晴間 立子
(かみそりの やうなかぜくる つゆはれま)

飛騨の子の花いちもんめ梅雨晴間 鉄之介
(ひだのこの はないちもんめ つゆはれま)

〈参考資料〉

・山本健吉 『山本健吉 基本季語五〇〇選』 講談社
・飯田龍太、稲畑汀子ほか 『カラー版 新日本大歳時記 愛蔵版』 講談社
・稲畑汀子 『ホトトギス新歳時記 第三版』 三省堂
・飯田蛇笏、富安風生ほか 『平凡社俳句歳時記 夏』 平凡社
・茨木和生、宇多喜代子ほか 『新版 角川俳句大歳時記 夏』 KADOKAWA

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