【歳時記・夏】 額の花 がくのはな
額の花 がくのはな
〈傍題〉
額紫陽花 がくあじさい(がくあぢさゐ) ・ 額草 がくそう(がくさう) ・ 額花 がくばな
紫陽花の母種で、ユキノシタ科の落葉低木。
花は毬状ではなく、ほぼ平ら。中心部に小さい花が群がり、その周囲を四片の装飾花が囲む。
装飾花が扁額のように見えることが、この名の由来とされる。
〈比較〉
〈例句〉
恩賜林ふちどるものに額の花 青邨
(おんしりん ふちどるものに がくのはな)
夏の日を淡しと思ふ額の花 泊月
(なつのひを あはしとおもふ がくのはな)
額の花揺れて杣来る隠し径 柯城
(がくのはな ゆれてそまくる かくしみち)
あけがたや額の咲くより雲ひくく 秀野
(あけがたや がくのさくより くもひくく)
水よりも土が濡れゐて額咲けり 時彦
(みづよりも つちがぬれゐて がくさけり)
谷深く日のとどきゐて額の花 真弓
(たにふかく ひのとどきゐて がくのはな)
数々のものに離れて額の花 兜子
(かずかずの ものにはなれて がくのはな)
〈参考資料〉
・飯田龍太、稲畑汀子ほか 『カラー版 新日本大歳時記 愛蔵版』 講談社
・稲畑汀子 『ホトトギス新歳時記 第三版』 三省堂
・飯田蛇笏、富安風生ほか 『平凡社俳句歳時記 夏』 平凡社
・茨木和生、宇多喜代子ほか 『新版 角川俳句大歳時記 夏』 KADOKAWA