【歳時記・夏】 紫陽花 あじさい(あぢさゐ)
紫陽花 あじさい(あぢさゐ)
〈傍題〉
あずさい(あづさゐ) ・ かたしろぐさ ・ 四葩の花 よひらのはな ・ 七変化 しちへんげ ・ 八仙花 はっせんか(はつせんくわ) ・ 刺繡花 ししゆうばな ・ 瓊花 たまばな
ユキノシタ科の落葉低木。ガクアジサイを母種として日本で生まれた園芸品種で、奈良時代からあるとされる。
花びらに見えるのが萼(がく)、蘂(しべ)に見える部分が花。
「あぢさい」の「あぢ」は「集まる」、「さい」は「藍色」をそれぞれ意味し、「藍色が集まる」の意が命名の由来とされる。
土壌の性質(酸性/アルカリ性)などによって花色の色合い(青味や赤味)が変化する。
〈比較〉
〈例句〉
紫陽草や帷子時の薄浅黄 芭蕉
(あぢさゐや かたびらどきの うすあさぎ)
あぢさゐを五器に盛らばや草枕 嵐雪
(あぢさゐを ごきにもらばや くさまくら)
紫陽花やはなだにかはるきのふけふ 子規
(あぢさいや はなだにかはる きのふけふ)
紫陽花の浅黄のままの月夜かな 花蓑
(あぢさゐの あさぎのままの つきよかな)
紫陽花や白よりいでし浅みどり 水巴
(あぢさゐや しろよりいでし あさみどり)
あぢさゐの雨を寒がる女かな 喜舟
(あぢさゐの あめをさむがる をんなかな)
赤門は古し紫陽花も古き藍 青邨
(あかもんはふるし あぢさゐも ふるきあゐ)
あぢさゐやきのふの手紙はや古ぶ 多佳子
(あぢさゐや きのふのてがみ はやふるぶ)
おとろへてあぢさゐ色の齢かな 時彦
(おとろへて あぢさゐいろの よはひかな)
紫陽花や家居の腕に腕時計 爽波
(あぢさゐや いへゐのうでに うでどけい)
紫陽花の毬の日に日に登校す 立子
(あぢさゐの まりのひにひに とうかうす)
紫陽花の紫紺を尽くし竜飛岬 千空
(あぢさゐの しこんをつくし たつぴみさき)
あぢさゐの色にはじまる子の日誌 汀子
(あぢさゐの いろにはじまる このにつし)
あぢさゐ截る百眸の露こぼさずに 千鶴子
(あぢさゐきる ひやくぼうのつゆ こぼさずに)
〈参考資料〉
・飯田龍太、稲畑汀子ほか 『カラー版 新日本大歳時記 愛蔵版』 講談社
・稲畑汀子 『ホトトギス新歳時記 第三版』 三省堂
・飯田蛇笏、富安風生ほか 『平凡社俳句歳時記 夏』 平凡社
・茨木和生、宇多喜代子ほか 『新版 角川俳句大歳時記 夏』 KADOKAWA
・『日本大百科全書(ニッポニカ)』 小学館