【歳時記・春】 二月 にがつ(にぐわつ) 

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梅林と山の写真

二月 にがつ(にぐわつ)

〈傍題〉

なし

陽暦の2月。4日頃に立春を迎えるが、寒さはまだ厳しい。
鶯の初音や、梅の花の便りがある時季。

〈比較〉

【歳時記・春】 睦月 むつき

〈例句〉

二ン月や天神様の梅の花 一茶
(にんぐわつや てんじんさまの うめのはな)

栴檀のほろほろ落る二月かな 子規
(せんだんの ほろほろおちる にぐわつかな)

木の間出る人に二月の光かな 虚子
(このまでる ひとににぐわつの ひかりかな)

山雪に焚く火ばしらや二月空 蛇笏
(さんせつに たくひばしらや にぐわつぞら)

面体をつつめど二月役者かな 普羅
(めんていを つつめど にぐわつやくしやかな)

眠れねば香きく風の二月かな 水巴
(ねむれねば かうきくかぜの にぐわつかな)

波を追ふ波いそがしき二月かな 万太郎
(なみをおふ なみいそがしき にぐわつかな)

水ひかる二月真鴨は月の鳥 舟月
(みづひかる にぐわつまがもは つきのとり)

詩に痩せて二月渚をゆくはわたし 鷹女
(しにやせて にぐわつなぎさを ゆくはわたし)

逆潮の沖へながるる二月かな 真砂女
(さかしほの おきへながるる にぐわつかな)

少年がもたれ二月の桜の木 稔典
(せうねんが もたれにぐわつの さくらのき)

竹林の月の奥より二月来る 龍太
(ちくりんの つきのおくより にぐわつくる)

木曾馬の黒瞳みひらく二月かな あきら
(きそうまの くろめみひらく にぐわつかな)

筬音の切羽つまりし二月かな 甲子雄
(をさおとの せつばつまりし にぐわつかな)

この二月乗りきる心調へり 汀子
(このにぐわつ のりきるこころ ととのへり)

〈参考資料〉

・飯田龍太、稲畑汀子ほか 『カラー版 新日本大歳時記 愛蔵版』 講談社
・稲畑汀子 『ホトトギス新歳時記 第三版』 三省堂
・飯田蛇笏、富安風生ほか 『平凡社俳句歳時記 春』 平凡社
・茨木和生、宇多喜代子ほか 『新版 俳句大歳時記 春』 KADOKAWA

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