【歳時記・冬】 一月 いちがつ(いちぐわつ)

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一月 いちがつ(いちぐわつ)

〈傍題〉

なし

太陽暦の1年における最初の月。
1年で最も寒い時期とされ、5日頃の寒入り後、小寒・大寒がそれぞれ15日間続く。
「正月」は新年の時候、「一月」は冬の時候にそれぞれ分類される。
平井照敏編など、陰暦をもとに「一月」を初春の季語とする歳時記もごく稀にある。

〈比較〉

【歳時記・新年】 正月 しょうがつ(しやうぐわつ)

〈例句〉

一月や去年の日記尚机辺 虚子
(いちぐわつや きよねんのにつき なほきへん)

一月や波除こゆるなみしぶき 万太郎
(いちぐわつや なみよけこゆる なみしぶき)

一月の音にはたらく青帚 登四郎
(いちぐわつの おとにはたらく あをはうき)

一月やうぶすなちかく野鍛冶の火 誓子
(いちぐわつや うぶすなちかく のかぢのひ)

一月の畦行きなやむたなご釣 秋櫻子
(いちぐわつの あぜゆきなやむ たなごつり)

琅玕や一月沼の横たはり 波郷
(らうかんや いちぐわつぬまの よこたはり)

一月の川一月の谷の中 龍太
(いちぐわつのかわ いちぐわつの たにのなか)

一月や火事生き生きと風下へ 敏雄
(いちぐわつや くわじいきいきと かざしもへ)

一月や白きものみなその位置に 悟朗
(いちぐわつや しろきものみな そのゐちに)

群青を恋ひ一月の船にあり 子郷
(ぐんじやうをこひ いちぐわつの ふねにあり)

一月のさよりの銀を一包み 桃子
(いちぐわつの さよりのぎんを ひとつつみ)

〈参考資料〉

・飯田龍太、稲畑汀子ほか 『カラー版 新日本大歳時記 愛蔵版』 講談社
・稲畑汀子 『ホトトギス新歳時記 第三版』 三省堂
・飯田蛇笏、富安風生ほか 『平凡社俳句歳時記 冬』 平凡
・平井照敏編 『新歳時記 冬 軽装版』 河出書房新社

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