【歳時記・春】 桃の花 もものはな
桃の花 もものはな
〈傍題〉
白桃 しらもも/しろもも ・ 緋桃 ひもも ・ 源平桃 げんぺいもも ・ 桃畑 ももばたけ ・ 桃林 とうりん(たうりん) ・ 枝垂桃 しだれもも ・ 桃園 とうえん(たうゑん) ・ 桃見 ももみ ・ 桃の村 もものむら ・ 桃の宿 もものやど ・ 桃花村 とうかそん(たうくわそん) ・ 三千世草 みちよぐさ ・ 三千歳草 みちとせぐさ ・ 西王母 せいおうぼ(せいわうぼ)
〈比較〉
〈例句〉
わが衣に伏見の桃の雫せよ 芭蕉
(わがきぬに ふしみのももの しづくせよ)
海女とても陸こそよけれ桃の花 虚子
(あまとても くがこそよけれ もものはな)
桃咲くや古き都の子守唄 子規
(ももさくや ふるきみやこの こもりうた)
夜の桃あたたかなれば哀なり 素檗
(よるのもも あたたかなれば あはれなり)
花桃の蕊をあらはに真昼時 蛇笏
(はなももの しべをあらはに まひるどき)
野に出れば人みなやさし桃の花 素十
(のにでれば ひとみなやさし もものはな)
白桃や莟うるめる枝の反り 龍之介
(しらももや つぼみうるめる えだのそり)
杳として桃花に入るや水の色 漱石
(ゑうとして たうくわにいるや みづのいろ)
ゆるぎなく妻は肥りぬ桃の下 波郷
(ゆるぎなく つまはふとりぬ もものした)
ふだん着でふだんの心桃の花 綾子
(ふだんぎで ふだんのこころ もものはな)
桃の里家鴨に藍を流しけり 茅舎
(もものさと あひるにあゐを ながしけり)
わが持たぬ曲線ばかり桃の花 楸邨
(わがもたぬ きよくせんばかり もものはな)
〈参考資料〉
・山本健吉 『山本健吉 基本季語五〇〇選』 講談社
・飯田龍太、稲畑汀子ほか 『カラー版 新日本大歳時記 愛蔵版』 講談社
・稲畑汀子 『ホトトギス新歳時記 第三版』 三省堂
・飯田蛇笏、富安風生ほか 『平凡社俳句歳時記 春』 平凡社
・茨木和生、宇多喜代子ほか 『新版 俳句大歳時記 春』 KADOKAWA