【歳時記・冬】 冬紅葉 ふゆもみじ(ふゆもみぢ)
冬紅葉 ふゆもみじ(ふゆもみぢ)
〈傍題〉
残る紅葉 のこるもみじ(のこるもみぢ)
冬に入っても残っている紅葉のこと。
〈比較〉
〈例句〉
侘つつも酒の粕焼冬紅葉 才麿
(わびつつも さけのかすやき ふゆもみぢ)
自動車と駕と麓に冬紅葉 虚子
(じどうしやと かごとふもとに ふゆもみぢ)
夕映に何の水輪や冬紅葉 水巴
(ゆふばえに なんのみなわや ふゆもみぢ)
冬紅葉冬のひかりをあつめけり 万太郎
(ふゆもみぢ ふゆのひかりを あつめけり)
さむざむとしかはあれども冬紅葉 風生
(さむざむと しかはあれども ふゆもみぢ)
冬紅葉しづかに人を歩ましむ 風生
(ふゆもみぢ しづかにひとを あゆましむ)
日おもてにあればはなやか冬紅葉 草城
(ひおもてに あればはなやか ふゆもみぢ)
冬紅葉甲斐深き山うかびたり 秋櫻子
(ふゆもみぢ かひふかきやま うかびたり)
冬紅葉長門の国に船着きぬ 誓子
(ふゆもみぢ ながとのくにに ふねつきぬ)
一と日づつ一と日づつ冬紅葉かな 比奈夫
(ひとひづつ ひとひづつ ふゆもみぢかな)
香久山の冬の紅葉は火種ほど 秞子
(かぐやまの ふゆのもみぢは ひだねほど)
朱よりもはげしき黄あり冬紅葉 正江
(あけよりも はげしききあり ふゆもみぢ)
美しく老ゆるも死ぬも草紅葉 草一路
(うつくしく おゆるもしぬも くさもみぢ)
〈参考資料〉
・飯田龍太、稲畑汀子ほか 『カラー版 新日本大歳時記 愛蔵版』 講談社
・稲畑汀子 『ホトトギス新歳時記 第三版』 三省堂
・飯田蛇笏、富安風生ほか 『平凡社俳句歳時記 冬』 平凡社
・平井照敏編 『新歳時記 冬 軽装版』 河出書房新社