【歳時記・冬】 七五三 しちごさん
七五三 しちごさん
〈傍題〉
七五三の祝 しちごさんのいわい(しちごさんのいはひ) ・ 七五三祝 しめいわい(しめいはひ) ・ 千歳飴 ちとせあめ
数えで3歳と5歳の男児、3歳と7歳の女児を祝う行事。
金星初期まで主として禁中・堂上に伝わっていた髪置・袴着・帯解などの諸行事が江戸末期から民間に普及した。
産土神に詣で成長を感謝し、守護を願う。男女共に7歳で氏子の一員となり社会的に認められるならわしだった。
七五三が11月15日とされたのは、11月が産土神に実りを感謝する月であることに加えて、陰暦の15日がかならず満月にあたることからだとされる。
〈比較〉
【歳時記・冬】 髪置 かみおき
【歳時記・冬】 袴着 はかまぎ
【歳時記・冬】 帯解 おびとき
〈例句〉
七五三詣り合はして紋同じ 虚子
(しちごさん まゐりあはして もんおなじ)
母系の声七五三に美しく澄む 友次郎
(ぼけいのこゑ しちごさんに うつくしくすむ)
七五三の飴も袂もひきずりぬ 種芽
(しちごさんの あめもたもとも ひきずりぬ)
七五三石段天に到りけり 里井
(しちごさん いしだんてんに いたりけり)
石地蔵の袖の長さよ七五三 草田男
(いしぢざうの そでのながさよ しちごさん)
子がなくて夕空澄めり七五三 麦丘人
(こがなくて ゆふぞらすめり しちごさん)
もう一つ父の掌が欲し七五三 寒林
(もうひとつ ちちのてがほし しちごさん)
うれしくてすぐに眠くて七五三 千鶴子
(うれしくて すぐにねむくて しちごさん)
ぽつくりに硬き舗道や七五三 正保
(ぽつくりに かたきほだうや しちごさん)
紅筆に口つき出して七五三 泰子
(べにふでに くちつきだして しちごさん)
花嫁を見上げて七五三の子よ 章
(はなよめを みあげて しちごさんのこよ)
歩き幅合はぬ石段七五三 暮石
(あるきはば あはぬいしだん しちごさん)
〈参考資料〉
・飯田龍太、稲畑汀子ほか 『カラー版 新日本大歳時記 愛蔵版』 講談社
・稲畑汀子 『ホトトギス新歳時記 第三版』 三省堂
・飯田蛇笏、富安風生ほか 『平凡社俳句歳時記 冬』 平凡社
・平井照敏編 『新歳時記 冬 軽装版』 河出書房新社