【歳時記・冬】 冬の朝 ふゆのあさ
冬の朝 ふゆのあさ
〈傍題〉
冬暁 ふゆあかつき ・ 冬曙 ふゆあけぼの ・ 寒暁 かんぎょう(かんげう) ・ 寒き朝 さむきあさ
〈比較〉
なし
〈例句〉
烏ばかり静かにならぬ冬の朝 曾良
(からすばかり しづかにならぬ ふゆのあさ)
暁寒のおのれむちうつべし起くる 素逝
(げうかんの おのれむちうつべしおくる)
冬曙六人の病床うかびそむ 波郷
(ふゆあけぼの ろくにんのびやうしやう うかびそむ)
寒暁の明るさわが眼病むごとく 為人
(かんげうの あかるさわがめ やむごとく)
寒の朝みな美しき横顔す 洋子
(かんのあさ みなうつくしき よこがほす)
寒暁や神の一撃もて明くる 悟朗
(かんげうや かみのいちげき もてあくる)
線香の函美しき冬の朝 魚目
(せんかうの はこうつくしき ふゆのあさ)
冬曙太古のままの湖の明け 良多
(ふゆあけぼの たいこのままの うみのあけ)
深みどり汲めば色なし冬の朝 奏鳳
(ふかみどり くめばいろなし ふゆのあさ)
寒暁の鼻をそろへて牛の息 壽代子
(かんげうの はなをそろへて うしのいき)
オリオンのかたむき消えぬ冬の朝 汀子
(おりおんの かたむききえぬ ふゆのあさ)
〈参考資料〉
・飯田龍太、稲畑汀子ほか 『カラー版 新日本大歳時記 愛蔵版』 講談社
・稲畑汀子 『ホトトギス新歳時記 第三版』 三省堂
・飯田蛇笏、富安風生ほか 『平凡社俳句歳時記 冬』 平凡社
・平井照敏編 『新歳時記 冬 軽装版』 河出書房新社