【歳時記・秋】 稲妻 いなずま(いなづま)
稲妻 いなずま(いなづま)
音(雷鳴)を伴わず、光のみをいう。昔は、稲妻のおかげで稲がよく実ると信じられていた。
〈傍題〉
稲光 いなびかり ・ 稲の殿 いねのとの ・ いなつるび ・ いなたま
〈比較〉
〈例句〉
稲妻のかきまぜていく闇夜かな 去来
(いなづまの かきまぜていく やみよかな)
稲妻の一網打つや伊勢の海 蕪村
(いなづまの ひとあみうつや いせのうみ)
もろこしの葉にたらたらと稲光 風生
(もろこしの はにたらたらと いなびかり)
いなびかり北よりすれば北を見る 多佳子
(いなびかり きたよりすれば きたをみる)
うつむく母あおむく赤子稲光 三鬼
(うつむくはは あおむくあかご いなびかり)
いなびかりひとと逢ひきし四肢てらす 信子
(いなびかり ひととあひきし ししてらす)
稲妻の中稲妻の走りけり 汀子
(いなづまの なかいなづまの はしりけり)
〈参考資料〉
・山本健吉 『山本健吉 基本季語五〇〇選』 講談社
・飯田龍太、稲畑汀子ほか 『カラー版 新日本大歳時記 愛蔵版』 講談社
・稲畑汀子 『ホトトギス新歳時記 第三版』 三省堂
・飯田蛇笏、富安風生ほか 『平凡社俳句歳時記 秋』 平凡社