【歳時記・秋】 山粧う やまよそう(やまよそふ)

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山粧う やまよそう(やまよそふ)

〈傍題〉

山粧う やまよそおう(やまよそほふ) ・ 山彩る やまいろどる ・ 粧う山 よそおうやま(よそほふやま)

紅葉した山の姿を、錦をまとった人に見立てていう。
この季語のほか、春の「山笑う」、夏の「山滴る」、冬の「山眠る」は、中国北宋の画家・郭熙(かくき)の『郭熙画譜』が所出とされる。

〈比較〉

【歳時記・春】 山笑う やわまらう(やまわらふ)

【歳時記・夏】 夏の山 なつのやま > 山滴る やましたたる

【歳時記・秋】 秋の山 あきのやま

【歳時記・冬】 山眠る やまねむる

〈例句〉

大由布に従ふ山も粧へる 播水
(おほゆふに したがふやまも よそほへる)

水晶をもはや産まざる山粧ふ 湘子
(すいしやうを もはやうまざる やまよそふ)

鳥海の海の裳の粧へる 小刀子
(てうかいの うみのもすその よそほへる)

谷底の朴より山の粧ふらし 爽雨
(たにそこの ほほよりやまの よそふらし)

最澄の山も粧ふことをせり 七菜子
(さいちようのやまも よそほふことをせり)

山粧ふ一灯で足る露天の湯 磨もる
(やまよそふ いつとうでたる ろてんのゆ)

〈参考資料〉

・飯田龍太、稲畑汀子ほか 『カラー版 新日本大歳時記 愛蔵版』 講談社
・稲畑汀子 『ホトトギス新歳時記 第三版』 三省堂
・飯田蛇笏、富安風生ほか 『平凡社俳句歳時記 秋』 平凡社
・茨木和生、宇多喜代子ほか 『新版 角川俳句大歳時記 秋』 KADOKAWA
・『日本国語大辞典 第2版』 小学館

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