【歳時記・秋】 コスモス こすもす
コスモス こすもす
〈傍題〉
秋桜 あきざくら ・ おおはるしゃぎく(おほはるしやぎく)
キク科の一年草。メキシコ原産。日本へは明治期に渡来し、鑑賞用に広く栽培された。
風雨に弱く倒れやすいが、倒れたところからまた根を出し伸びてゆく力がある。
〈比較〉
なし
〈例句〉
コスモスの花あそびをる虚空かな 虚子
(こすもすの はなあそびをる こくうかな)
コスモスの花吹きしなひ立もどり 虚子
(こすもすの はなふきしなひ たちもどり)
晴天やコスモスの影撒きちらし 花蓑
(せいてんや こすもすのかげ まきちらし)
コスモスを離れし蝶に豁深し 秋櫻子
(こすもすを はなれしてふに たにふかし)
コスモスや墓銘に彫りし愛の文字 風生
(こすもすや ぼめいにほしり あいのもじ)
コスモスの倒れ倒れし花の数 素十
(こすもすの たふれたふれし はなのかず)
秋桜園児に性の意識なし 哲郎
(あきざくら ゑんじにせいの いしきなし)
コスモスの白多ければ紅欲しく 去秋
(こすもすの しろおほければ べにほしく)
風つよしそれより勁し秋桜 秀子
(かぜつよし それよりつよし あきざくら)
乱るるといふ美しさ秋桜 政美
(みだるると いふうつくしさ あきざくら)
コスモスや秩父少女に火の匂ひ 聖
(こすもすや ちちぶせうぢよに ひのにほひ)
コスモスの一花も風をのがれ得ず 伊津女
(こすもすの いつくわもかぜを のがれえず)
歳時記のなかもコスモス揺れてをり 葉子
(さいじきの なかもこすもす ゆれてをり)
コスモスや彼女意外にしたたかよ 美紗子
(こすもすや かのぢよいがいに したたかよ)
コスモスの揺れ返すとき色乱れ 汀子
(こすもすの ゆれかへすとき いろみだれ)
コスモスの色の分れ目通れさう 汀子
(こすもすの いろのわかれめ とほれさう)
〈参考資料〉
・飯田龍太、稲畑汀子ほか 『カラー版 新日本大歳時記 愛蔵版』 講談社
・稲畑汀子 『ホトトギス新歳時記 第三版』 三省堂
・飯田蛇笏、富安風生ほか 『平凡社俳句歳時記 秋』 平凡社
・茨木和生、宇多喜代子ほか 『新版 角川俳句大歳時記 秋』 KADOKAWA