【歳時記・秋】 新蕎麦 しんそば

最終更新日

新蕎麦 しんそば

〈傍題〉

走り蕎麦 はしりそば ・ 秋蕎麦 あきそば ・ 初蕎麦 はつそば ・ 新蕎麦 あらそば

蕎麦の収穫は、通常年2回。春蒔きを「夏蕎麦」、夏蒔きを「秋蕎麦」とよび、どちらも約3か月で成熟するという。夏蒔きの「秋蕎麦」の一部を早めに収穫し、青みを帯びた粉にして新蕎麦を打ったものが、新蕎麦とよばれる。

〈比較〉

【歳時記・秋】 蕎麦の花

〈例句〉

新蕎麦やむぐらの宿の根来椀 蕪村
(しんそばや むぐらのやどの ねごろわん)

新しき蕎麦打つて食はん坊の雨 漱石
(あたらしき そばうつてくはん ばうのあめ)

新蕎麦の袋を縫ひぬ赤き糸 かな女
(しんそばの ふくろをぬひぬ あかきいと)

鵯騒ぎ新蕎麦笊にあたたかし 秋櫻子
(ひよさわぎ しんそばざるに あたたかし)

新蕎麦を打つてもてなす髪鄙び 久女
(しんそばを うつてもてなす かみひなび)

新蕎麦や口で箸割る秩父駅 雅敏
(しんそばや くちではしわる ちちぶえき)

〈参考資料〉

・山本健吉 『山本健吉 基本季語五〇〇選』 講談社
・飯田龍太、稲畑汀子ほか 『カラー版 新日本大歳時記 愛蔵版』 講談社
・稲畑汀子 『ホトトギス新歳時記 第三版』 三省堂
・飯田蛇笏、富安風生ほか 『平凡社俳句歳時記 秋』 平凡社
・茨木和生、宇多喜代子ほか 『新版 角川俳句大歳時記 秋』 KADOKAWA

waticoti管理人