【歳時記・夏】 柿の花 かきのはな
柿の花 かきのはな
〈傍題〉
柿の薹 かきのとう(かきのたう)
カキノキ科カキノキ属の落葉高木の花。花弁は壺のようなかたちで、緑色の萼片(がくへん)をもつ。
樹下におびただしく散り落ちるとき、花弁は黄色味を増す。
〈比較〉
〈例句〉
渋柿の花ちる里と成にけり 蕪村
(しぶがきの はなちるさとと なりにけり)
柿の花きのふ散りしは黄ばみ見ゆ 蕪村
(かきのはな きのふちりしは きばみみゆ)
柿の花土塀の上にこぼれけり 子規
(かきのはな どべいのうへに こぼれけり)
柿の花こぼるる枝の低きかな 風生
(かきのはな こぼるるえだの ひくきかな)
十ばかり拾ひてみたり柿の花 達治
(とをばかり ひろひてみたり かきのはな)
柿の花百姓もして染屋かな 鎮西郎
(かきのはな ひやくしやうもして そめやかな)
柿の花月日零るるごとくあり 群青
(かきのはな つきひこぼるる ごとくあり)
得心のいくまで柿の花落ちよ 生長
(とくしんの いくまでかきの はなおちよ)
〈参考資料〉
・飯田龍太、稲畑汀子ほか 『カラー版 新日本大歳時記 愛蔵版』 講談社
・稲畑汀子 『ホトトギス新歳時記 第三版』 三省堂
・飯田蛇笏、富安風生ほか 『平凡社俳句歳時記 夏』 平凡社
・茨木和生、宇多喜代子ほか 『新版 角川俳句大歳時記 夏』 KADOKAWA