【歳時記・秋】 秋 あき
秋 あき
〈傍題〉
白秋 はくしゅう(はくしう) ・ 白帝 はくてい ・ 白蔵 はくぞう(はくざう) ・ 明景 めいけい・ 少皥 しょうこう(せうかう) ・ 蓐秋 じょくしゅう(じよくしう) ・ 素秋 そしゅう(そしう) ・ 高秋 こうしゅう(かうしう) ・ 金秋 きんしゅう(きんしう) ・ 金商 きんしょう(きんしやう) ・ 商秋 しょうしゅう(しやうしう) ・ 西侯 せいこう ・ 西皎 せいこう ・ 凛秋 りんしゅう(りんしう) ・ 廩秋 りんしゅう(りんしう) ・ 爽節 そうせつ(さうせつ) ・収成 しゅうせい(しうせい) ・ 火旻 かびん(くわびん) ・ 三秋 さんしゅう(さんしう) ・ 九秋 きゅうしゅう(きうしう) ・ ホ句の秋 ほくのあき
四季(春、夏、秋、冬)のひとつ。二十四節気の立秋(8月8日頃)から立冬の前日(11月8日頃)までの期間をいう。
〈比較〉
【歳時記・秋】 秋めく あきめく
【歳時記・秋】 秋の夜 あきのよ
〈例句〉
此の秋は何で年よる雲に鳥 芭蕉
(このあきは なんでとしよる くもにとり)
見渡せば詠れば見れば須磨の秋 芭蕉
(みわたせば ながむればみれば すまのあき)
秋ひとり琴柱はづれて寝ぬ夜かな 荷兮
(あきひとり ことぢはづれて ゐぬよかな)
夕暮や都の人も秋の顔 千代女
(ゆふぐれや みやこのひとも あきのかほ)
砂の如き雲流れ行く朝の秋 子規
(すなのごとき くもながれゆく あさのあき)
目薬に涼しく秋を知る日かな 鳴雪
(めぐすりに すずしくあきを しるひかな)
行く我にとどまる汝に秋二つ 子規
(ゆくわれに とどまるなれに あきふたつ)
げてものは嫌ひで飛騨の秋は好き 虚子
(げてものは きらひでひだの あきはすき)
山々の男振り見よ甲斐の秋 虚子
(やまやまの をとこふりみよ かひのあき)
秋も松青し子規虚子ここに生れ 青邨
(あきもまつ あをししききよし ここにあれ)
秋の谷とうんと銃の谺かな 青畝
(あきのたに とうんとじゆうの こだまかな)
くろがねの秋の風鈴鳴りにけり 蛇笏
(くろがねの あきのふうりん なりにけり)
無意識に唇に指あてて秋 風生
(むいしきに くちびるにゆび あててあき)
恋すてて妻にかへりし人の秋 小提灯
(こひすてて つまにかへりし ひとのあき)
むさし野の秋は白雲よりととのふ 占魚
(むさしのの あきはしらくもより ととのふ)
先に行く人すぐ小さき野路の秋 立子
(さきにゆく ひとすぐちさき のぢのあき)
秋の航一大紺円盤の中 草田男
(あきのかう いちだいこんゑんばんのなか)
手紙せず秋を大事と思ふのみ 不死男
(てがみせず あきをだいじと おもふのみ)
草笛の音色に秋の生まれけり 真砂女
(くさぶえの ねいろにあきの うまれけり)
獅子踊り少年の秋終りけり 梓
(ししをどり せうねんのあき をはりけり)
喪の秋やのこりし人に電燈つく 綾子
(ものあきや のこりしひとに あかりつく)
秋の人白し灯台なほ白し 俊樹
(あきのひと しろしとうだい なほしろし)
〈参考資料〉
・飯田龍太、稲畑汀子ほか 『カラー版 新日本大歳時記 愛蔵版』 講談社
・稲畑汀子 『ホトトギス新歳時記 第三版』 三省堂
・飯田蛇笏、富安風生ほか 『平凡社俳句歳時記 秋』 平凡社
・茨木和生、宇多喜代子ほか 『新版 角川俳句大歳時記 秋』 KADOKAWA