【歳時記・秋】 新涼 しんりょう(しんりやう)

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新涼 しんりょう(しんりやう

〈傍題〉

新に涼し あらたにすずし ・ 涼新た りょうあらた(りやうあらた) ・ 初めて涼し はじめてすずし ・ 初涼 しょりょう(しよりやう) ・秋涼し あきすずし ・ 秋涼 しゅうりょう(しゆうりやう) ・ 早くも涼し はやくもすずし ・ 早涼 そうりょう(さうりやう)

〈比較〉

【歳時記・夏】 涼し すずし

〈例句〉

新涼の驚き貌に来りけり 虚子
(しんりやうの おどろきかほに きたりけり) 

新涼や仏にともし奉る 虚子
(しんりやうや ほとけにともし たてまつる) 

涼あらた畦こす水の浮藻草 蛇笏
(りやうあらた あぜこすみづの うきもぐさ)

新涼の身に添ふ灯影ありにけり 万太郎
(しんりやうの みにそふほかげ ありにけり)

新涼の俄に到る草廬かな 風生
(しんりやうの にはかにいたる さうろかな)

新涼やさらりと乾く足の裏 草城
(しんりやうや さらりとかわく あしのうら)

新涼や白きてのひらあしのうら 茅舎
(しんりやうや しろきてのひら あしのうら)

新涼をうたたよろこぶ髪膚かな 拐童
(しんりやうを うたたよろこぶ はつぷかな)

たはむれにくらがりにをる秋涼し れい無公
(たはむれに くらがりにをる あきすずし)

新涼や豆腐驚く唐辛 普羅
(しんりやうや とうふおどろく たうがらし)

新涼のすでに休職教師かな 麦丘人
(しんりやうの すでにきうしよく けうしかな)

新涼の浪ひるがへり蜑が窓 秋櫻子
(しんりやうの なみひるがへり あまがまど)

新涼の咽喉透き通り水下る 三鬼
(しんりやうの のどすきとほり みづくだる)

新涼のいのちしづかに蝶交む 蒼石
(しんりやうの いのちしづかに てふつるむ)

新涼の画を見る女画の女 蓼汀
(しんりやうの ゑをみるをんな ゑのをんな)

新涼の水を浮べし家鴨かな 敦
(しんりやうの みづをうかべし あひるかな)

新涼や尾にも塩ふる焼肴 真砂女
(しんりやうや をにもしほふる やきざかな)

新涼の小さき乳房をもつわれは 鷹女
(しんりやうの ちさきちぶさを もつわれは)

新涼の水に老けたり水馬 青畝
(しんりやうの みづにふけたり あめんぼう)

新涼の母国に時計合せけり 朗人
(しんりやうの ぼこくにとけい あはせけり)

折返すより新涼の馬車となる 汀子
(をりかへす よりしんりやうの ばしやとなる)

〈参考資料〉

・山本健吉 『山本健吉 基本季語五〇〇選』 講談社
・飯田龍太、稲畑汀子ほか 『カラー版 新日本大歳時記 愛蔵版』 講談社
・稲畑汀子 『ホトトギス新歳時記 第三版』 三省堂
・飯田蛇笏、富安風生ほか 『平凡社俳句歳時記 秋』 平凡社

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